未成年者と性的な関係を持った場合に処罰されることがあります。また,未成年といっても,その年齢によって,淫行と言っても,実際にどのような行為をしたのかなどによって適用される法律が異なります。
「未成年者との淫行」を最も広く捉えて処罰の対象としているのは,各都道府県が制定する青少年健全育成条例(都道府県ごとに名称は異なります。)です。


「児童(18歳未満の者)に対して事実上の影響力を行使して淫行をさせる」行為については,児童福祉法違反となります。
18歳未満の未成年との性交の代償に金銭を支払う,性交する際の写真を撮影する等の行為を行っていた場合には,児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反に該当する可能性があります。


もちろん,未成年に限らず,同意なく性交や性交類似行為を行えば「強制性交罪」,同意なくわいせつな行為をすれば「強制わいせつ罪」が成立する可能性がありますが,同意があっても13歳未満の児童が相手であれば「強制性交罪」,「強制わいせつ罪」が成立しえます。
 このように,未成年者との性的な関係を持った場合,様々な理由で処罰される恐れがあります。

淫行とは

 ニュースなどでもよく使われる「淫行」とはどういった行為を指すのでしょうか。
 最高裁判所の判例によれば,「淫行」とは,「青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう」と解釈されています。つまり,相手の同意があっても,未成年者の肉体的・精神的未熟さを利用するような性交又は性交類似行為,自分の欲求を満たすためと思われるような未成年者との性交,性交類似行為は「淫行」となるということです。性交類似行為とは,手淫や口淫等を指します。


 そして,この「淫行」自体を処罰の対象としているのが各都道府県が制定している青少年健全育成条例(条例名は都道府県によって異なります)の淫行処罰規定です。この条例では,「青少年」への「淫行」を処罰の対象としていますが,ここでいう「青少年」とは18歳未満の未成年となります。また,自治体によって「淫行」という言葉が使われないこともありますが,内容としては,上記のような「淫行」行為自体を処罰の対象としています。

淫行とならない場合

 先ほどの判例によれば,淫行となるかどうかについては,「当時における両者のそれぞれの年齢,性交渉に至る経緯,その他両者間の付合いの態様等の諸事情」を考慮して判断するものとしていますが,曖昧な表現であり,明確ではありません。単に「数か月男女交際をしていた」間柄では,実際に起訴されてしまった事例もあります。


 そのため,「淫行」と見られないためには,交際期間が長く真剣な交際であることや,親の同意があるなどの事情を客観的に証明できることが重要となります。特に,相手方未成年者が16歳以上18歳未満である場合,民法の婚姻適齢に達していますので,男女間の真摯な交際であることが証明できるような場合には,先ほど述べた青少年健全育成条例違反で処罰される可能性は低くなります。


 また,淫行にあてはまるような行為をしたとしても,犯罪の成立には故意が必要ですので,18歳未満であると知らなかった場合,原則として犯罪は成立しません。しかし,多くの場合はそのような主張をしても「未必の故意」(「18歳未満かもしれないが,それでもかまわない」という認識)があったと疑われることがほとんどですから,18歳以上であったと誤信したことが正当であることを証明する必要があるでしょう。

淫行によって成立する可能性がある犯罪

・淫行罪(各都道府県が規定する青少年健全育成条例違反)
内容:青少年(18歳未満)に対する淫行又はわいせつな行為
 罰則:2年以下の懲役または100万円以下の罰金(福岡県)


・児童買春罪(児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律)
内容:児童(18歳未満)に対し,対価を支払うなどして性交等をした場合
罰則:5年以下の懲役または300万円以下の罰金


・児童淫行罪(児童福祉法)
 内容:児童(18歳未満)に対し,事実上の影響力を及ぼして淫行をさせる行為
 罰則:10年以下の懲役または300万円以下の罰金


・強制わいせつ罪(刑法)
 内容:13歳以上の者に対し,暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした場合,13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした場合
 罰則:6月以上10年以下の懲役


・強制性交等罪(刑法)
 内容:13歳以上の者に対し,暴行または脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(性交等)をした場合,13歳未満の者に対し,性交等をした場合
 罰則:5年以上の懲役

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 上記各法律が制定された経緯としては,まだ身体的,精神的に未成熟な児童(18歳未満)の健全な性的成長発達を保護したり,性的自由自体(人権)を保護する意味合いが強いといえます。
近年,インターネットを介した未成年者との淫行などがニュース等でもよく報道されます。一言に未成年者との淫行といっても,どのような罪名で処罰されるかは上記のように,その態様によります。そのような行為が法的規制以前に道徳的に問題があることは大前提ですが,もしも未成年者との淫行で捜査を受けた場合,逮捕され実名報道される可能性,スマートフォンやパソコン等が長期間捜査のために押収される可能性,有罪となり,処罰される可能性があります。そうなった場合の社会的影響は計り知れません。
弁護士に相談いただくことで,相手方や保護者と示談をしたり,押収期間が不当に長いなどの場合,還付を促すなどの対応をすることができます。
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更新日:2022-06-17

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