警察や検察庁、国税局等からの捜査が開始されると、一定期間の捜査が続けられた後、起訴されてしまうことが多くあります。起訴されて有罪判決を受けると、懲役や罰金等の刑罰を受けるだけでなく、前科がついてしまうことになります。
前科がついてしまうと、次のようなデメリットがあります。

前科のデメリット(失職の可能性・就職の制限)

前科がついた場合(有罪判決を受けた場合)、現在の勤務先から解雇されたり、大学等を退学になることがあります。また、一定の有罪判決を受けると、これにより就職できない職種があります(下記表参照)。その他にも、禁固以上の刑に処せられると、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまで取締役に就任することができなかったり(会社法331条)、実刑判決を受けて服役した場合には、社会復帰後も就職しづらくなることもあります。

  • 公務員(欠格事由)
    禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(国家公務員法第38条第1項および地方公務員法第16条第1項)
  • 宅地建物取引業者(欠格事由)
    禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者(宅地建物取引業法第5条第1項第5号)
  • 医師(医師免許取消等事由)
    罰金以上の刑に処せられた者には、医師免許の取消し等がなされることがある(医師法第4条第3号、第7条)
  • 公認会計士、税理士、司法書士、行政書士(欠格事由)
    禁錮以上の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者(公認会計士法第4条第3号、税理士法第4条第5号、司法書士法第5条第1号、行政書士法第2条の2第3号)
  • 弁護士、裁判官、検察官などの法律家(欠格事由)
    禁錮以上の刑に処せられた場合(弁護士法第7条第1号、裁判所法第46条第1号、検察庁法第20条第1号)

不起訴処分の種類

不起訴には、①証拠に基づく犯罪の嫌疑が不十分であるため起訴することができない場合(嫌疑不十分)、②証拠は十分であるものの、示談が成立したことなどを理由として不起訴にする場合(起訴猶予)の2種類があります(刑事訴訟法248条「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」)。


不起訴処分を得るための(前科をつけさせないための)弁護人の役割

起訴・不起訴を決めるのは検察官です(刑事訴訟法247条)。したがって、弁護人は、被疑者及びその家族等に対し、不起訴処分を約束できる立場にはありません。

しかし、検察官も、個人的な見解や好みによって起訴・不起訴を決めているわけではありません。厳格なルールに基づき、起訴するか、不起訴にするのかを決めています。また、検察庁には決裁という制度があり、起訴・不起訴を決定するためには、1人又は複数の上司の決裁を受ける必要があります。

したがって、弁護人は、事案の内容やそれまでの捜査状況を踏まえ、検察庁内の厳格なルールに照らして不起訴になる可能性の有無を検討し、示談書等どのような証拠を検察官に提供り、事実関係を説明すれば、検察官が不起訴にしてくれるかを判断しなければなりません。

しかし、弁護人は、捜査段階(起訴される前の段階、裁判前の段階)は警察や検察庁の手の内にある証拠を見せてもらうことができません。そのため、事件の種類や取調べ時の警察官や検察官の発言等から、警察や検察庁の手の内にある証拠や事実関係を推測した上で、①嫌疑不十分になる可能性を見極めたり、②どのような証拠を検察官に提供すれば起訴猶予にしてもらえるのかを慎重に検討する必要があるのです。
しかも、検察官は、勾留された被疑者については、勾留を請求した日から原則として10日間、最長で20日間以内に起訴するのか、不起訴にするのかを決めなければならないため(刑事訴訟法208条)、弁護人は、その期間内に、しかも担当検察官が上司の決裁を受ける前に、担当検察官に対して示談書等を提出したり、不起訴にするべき理由を説明しなければなりません。

当事務所の強み

しかし、事件の種類や取調べ時の警察官や検察官の発言等から、警察や検察庁の手の内にある証拠や事実関係を推測するというのは、決して容易なことではなく、元検事のように実際に多くの事件の捜査をした経験のある弁護士や多くの事件の刑事弁護をした経験を持つ弁護士にしかできることではありません。検察庁の決裁制度を前提とした刑事弁護活動をする上では、尚更その経験が必要となってくることはいうまでもありません。

この点、当事務所には、長きにわたり、東京地検、大阪地検、福岡地検等で検事として勤務していた経験を持つ弁護士が2名在籍しています。

各種事件の証拠関係や検察庁の決裁制度の実情等に精通した2名の元検事である弁護士が中心となり、不起訴処分を得るために全力でサポートいたします。

これまで取り扱った事例

【痴漢事件】【盗撮事件】

バスや電車等公共の乗り物で女性の臀部等を触るなどした痴漢事件や、女性のスカート内を携帯電話のカメラで撮影するなどした盗撮事件では、多くのケースで示談を成立させ、不起訴処分(起訴猶予)を得ています。

同種前科のない方の痴漢事件や盗撮事件では、30万円前後の示談金で示談が成立すれば、取り扱った全ての事件で不起訴処分を得ることができています。

【暴行・傷害事件】

酒に酔った勢いで他人の顔面を殴るなどして怪我を負わせた傷害事件等でも多くのケースで示談を成立させ、不起訴処分(起訴猶予)を得ています。

怪我の程度にもよりますが、10万円から50万円の示談金で示談が成立すれば、同種前科がない場合は取り扱った全ての事件で不起訴処分を得ることができています。

【強制わいせつ事件等】

知人女性に無理やりキスをしてしまった強制わいせつ事件や、酒に酔った勢いで部下の女性の胸を揉むなどした強制わいせつ事件でも、多くのケースで示談を成立させ、不起訴処分(起訴猶予)を得ています。

被害女性が加害者を宥恕した場合(許した場合)には、不起訴になるケースが多いので、50万円から100万円程度の示談金で示談が成立すれば、取り扱った全ての事件で不起訴処分を得ることができています。

【強制わいせつ事件等】

元交際相手や会社の同僚等の自宅で待ち伏せをしたり、何度も無言電話をかけたりLINEを送るなどしたストーカー事件でも、多くのケースで示談を成立させ、不起訴処分(起訴猶予)を得ています。

ストーカー事件の場合には、示談金の金額よりも、同じことを繰り返さないことを加害者に誓約してもらい、そのことを被害者に信じてもらうことが重要になります。ストーカー事件は、後に重大事件に発展するケースも少なくないため、検察官は、同じことが繰り返されないという確信が持てなければ、不起訴にすることはありません。そのため、弁護人としては、加害者に対し、ストーカー被害に遭われる方の不安や恐怖、ストーカー行為がエスカレートした場合に加害者自身にも起こりうる悲劇等を理解してもらい、その上で示談等をして検察官に加害者の反省状況等を伝える必要があります。

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当事務所には,検事として長年刑事事件の捜査・裁判を担当し,刑事関係の法令が実際の捜査・裁判の中でどのように運用されているのかという実態に精通した弁護士2名が在籍しており,この2名が中心となって,どのような刑事事件であっても的確な見通しを立て,充実したサポートをすることが可能な態勢を整えています。

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