少年事件と手続きの流れ

 まず,刑事事件における少年とは,20歳に満たない者を意味します。(少年法第2条第1項)そして,刑事責任を問われる可能性があるのは,14歳以上で罪を犯した少年です。

 少年事件の場合でも,逮捕されて身柄を拘束されることがあります。その場合,少年鑑別所という所に収容されたり,逮捕された成人と同じように警察の留置施設で過ごしたりすることになります。逮捕されると,48時間以内に検察官に送致されます。検察官が,勾留請求をし,裁判所が勾留の決定をすれば,最大20日間勾留されることになります。

 検察官が勾留請求に代えて観護措置請求をする場合もありますが,その場合でも,一定期間身柄が拘束されることになります。 

 その後,犯罪の嫌疑が少しでもあると疑われる少年は,家庭裁判所に送致され,裁判官によって観護措置決定がなされると,そのまま少年鑑別所に送られ,審判までの約1か月間を過ごすことになります。在宅観護や審判不開始決定などもありますが,逮捕された少年の多くは,少年鑑別所で審判を待つことになります。
審判によって少年の処分が決められ,処分は大きく不処分,保護処分,検察官送致(逆送)の3つに分けられます。

令和3年の少年法一部改正

 令和3年5月21日,少年法の一部が改正される法律が成立しました。

 この改正により,令和4年4月1日から18歳,19歳の少年が17歳以下の少年とは区別され,「特定少年」と定義され,(改正法第62条第1項)異なる取扱いをされることになります。

以下,重要な改正点をいくつか紹介します。
 まず,1で述べた家庭裁判所の処分の中に検察官送致(逆送)という処分がありました。検察官送致(逆走)された少年は,訴追を相当としない事情があるなどと検察官に判断された場合(少年法第45条第5号但書に該当する場合)をのぞいて,成人と同じように起訴され,裁判を受けることになります。これまでは,検察官送致(逆送)される事件が少年法第20条により
① 死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件(対象事件)について,罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき
② 故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた16歳以上の少年

と定められていました。

これが,特定少年の場合,新たに特例が定められ,
① 罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき(対象事件の制限なし)
② ⑴故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた16歳以上の少年
⑵死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯した「特定少年」

となりました。(①について改正法第62条第1項,②について同条2項)

これにより,18歳,19歳の少年については,原則検察官送致(逆送)となるケースが大幅に増えます。例えば,これまでと異なり,強制性交等や強盗罪なども原則検察官送致(逆送)となり,成人と同じように刑事裁判を受け,刑事罰を科される可能性が高くなりました。

 次に,大きな改正点として,報道規制の解除があります。
少年法第61条により,罪を犯した時点で「少年」であった者は,裁判の時点で成年年齢に達していた場合であっても,本人特定に繋がるような記事や写真は掲載されず,報道をすることが禁止されています。しかし,改正法では,特例が設けられ,「特定少年」の時に犯した罪によって起訴された者(略式請求された場合は除く。)は,起訴された段階で報道規制が解除されることになり,起訴されれば実名報道もありうることになります。(改正法第68条)

 これにより,少年に将来にわたって犯罪者のレッテルが貼られる可能性があります。

 他にも,不定期刑の適用除外など多くの改正点がありますが,大まかにいうと18歳,19歳の少年は「特定少年」とされ,成人に近い扱いを受けることとなりました。

弁護士に依頼するメリット

 少年であっても,勾留されれば国選弁護人を選任することができます。また,身柄を拘束されている少年については,家庭裁判所に送致されてから審判による処分が下るまでの間,国選付添人という弁護人のような存在を国費でつけることもできます。

ただし,別の記事でも述べたように,国選弁護人や国選付添人を自分で選ぶことはできないので,弁護士によっては,思うような弁護活動をしてくれなかったりします。

また,付添人は,家庭裁判所の許可があれば,弁護士以外の者でもなることができます。しかし,付添人は,法律的な助言はもちろん,少年の生活環境を調整したり,被害者などとの関係調整を行なったりする役割も担っているので,少年の更生も含めて良い処分が下るように,できるだけ第三者的視点で,精力的に活動してくれる弁護士に依頼するのがよいでしょう。

お問い合わせ・ご予約

お気軽にご連絡ください

刑事事件に精通した弁護士が対応いたします

当事務所には,検事として長年刑事事件の捜査・裁判を担当し,刑事関係の法令が実際の捜査・裁判の中でどのように運用されているのかという実態に精通した弁護士2名が在籍しており,この2名が中心となって,どのような刑事事件であっても的確な見通しを立て,充実したサポートをすることが可能な態勢を整えています。

刑事事件への対応は,早ければ早いほど適切に行うことができます

お困りの方は、まずは早めにご連絡・ご相談ください